*写真は総てイメージです。
■国連 南スーダンのPKO部隊に問題 態勢見直しへ
NHKニュースより。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161102/k10010753121000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_082
11月2日 6時31分
ことし7月、南スーダンで国連や避難民を保護する施設が政府軍などに襲撃された際、現地に展開する国連のPKO=平和維持活動の部隊には市民を守ろうとしないなど対応に問題があったとする調査結果がまとまり、国連は近く、部隊の態勢を見直す考えです。
5年前にスーダンから分離独立し、現在、国連のPKO=平和維持活動が行われている南スーダンでは、ことし7月に政府軍と反政府勢力の戦闘が再燃し、首都ジュバにある避難民を保護する施設や国連の施設が政府軍などに襲撃されて、市民を含む多数の死傷者がでました。
これについて国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長の報道官は、1日の定例記者会見で、パン事務総長が要請した独立の機関による調査の結果、襲撃が行われた3日間に、避難民や支援関係者を含む少なくとも73人が殺害されたことが判明したと明らかにしました。
また調査では、PKO部隊の指揮命令系統が不適切だったことや、市民を守ろうとしない対応が被害につながったと指摘していて、報道官は部隊の司令官が解任されるという見通しを示しました。
そのうえで、現地のPKO部隊が戦闘時に市民を適切に保護できるようパン事務総長が近く必要な措置をとるとして、部隊の組織や装備など態勢の見直しが行われることも明らかにしました。
国連は、首都ジュバの治安は現在は比較的安定しているとしていて、日本の自衛隊もPKOにあたっています。
♦防衛省・自衛隊:南スーダン国際平和協力業務
(PKO)
http://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/s_sudan_pko/index.html
南部スーダン独立前は、スーダン政府(イスラム教・アラブ系)とスーダン人民解放運動・軍(キリスト教・アフリカ系)の対立が長年にわたり継続しており、犠牲者の数は約200万人とも言われている。
2005年1月、両者はCPA(南北包括和平合意)に署名し紛争は終結した。
同年3月、CPA履行支援等を任務とする国連スーダン・ミッション(UNMIS)が設立され、我が国は2008年10月以降、UNMIS司令部要員として自衛官2名を派遣していた。
2011年1月、UNMISの支援も受けて、南部スーダン住民投票を実施した結果、有効投票総数の約99%が南部スーダンのスーダンからの分離を支持。
同年2月、スーダン政府はこの結果を受け入れた。
2011年7月9日の南スーダン独立に伴い、UNMISがその任務を終了する一方、平和と安全の定着および南スーダンの発展のための環境構築支援等を目的として、国際連合南スーダン共和国ミッション(UNMISS)が設立された。
我が国は、国連事務総長からの協力要請に基づき、同年11月に司令部要員を派遣し、また2012年1月より施設部隊等を順次派遣した。
派遣部隊は、自衛隊の得意分野を活かしたインフラ整備などにより、南スーダンの自立的発展に寄与することが期待されており、国連施設の整備や道路補修、国際機関の敷地整備等の施設活動を実施する中で、ODAやNGO等とも連携している。
♦防衛省・自衛隊:国際平和協力活動への取組 各活動及び取組
http://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/list.html
★お久しぶりです。
私は元気ですよ、山奥に引きこもってました。
陸上自衛隊の演習場で、国連のPKO=平和維持活動の部隊に新しい任務が付与される事の疑問点や、「駆けつけ警護」などの態勢の問題点と対応について、研修会や「実働CPX」を実施しました。
深夜の警戒任務や「誰何(すいか)」で、敵・味方を区別する状況も視察しました。
PKO宿営地に模した指揮所に入り手順や、「内容は隊員の安全の為に言えない」が、交戦規定や仮設敵を作り実践的な訓練をしました。
野党は今回も「取り敢えず反対」で、ガスタンクの爆発火災の消火にあたる消防職員に「パンダの着ぐるみ」で消火活動をしろと命令するに等しい。
部族などのゲリラ部隊や反政府ゲリラだけでなく、反撃する相手が正規軍にあたる組織となる恐れがあり、憲法解釈で禁じている海外での武力行使につながる恐れがあるとしている。
駆け付け警護とは、PKOで活動中の自衛隊が、他国軍やNGOなどの民間人が危険にさらされた場所に駆けつけ、武器を使用して助けること。
政府与党は、国連平和維持活動(PKO)を展開する自衛隊が、離れた場所にいる邦人や国連職員らが武装集団に襲われた場合に救出する「駆け付け警護」を可能にするため、PKO協力法の任務に「文民保護」を加える方向で調整しています。
「文民保護」を加える理由は、カンボジアで活動中に襲撃されて命を落とした国連ボランティアの中田厚仁さんと、文民警察官の高田晴行警視が殉職した例などがある。
♦中田厚仁氏 - Wikipediaより。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E7%94%B0%E5%8E%9A%E4%BB%81
中田 厚仁(なかた あつひと、1968年1月10日 ~ 1993年4月8日(没))は、国際連合ボランティア(UNV)。
♦高田晴行警視 - Wikipediaより。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%94%B0%E6%99%B4%E8%A1%8C
高田 晴行(たかた はるゆき)は、カンボジアで文民警察官として任務中に殉職した警察官。
階級は警部補(殉職後、二階級特進で警視)。
▲殺害の経緯
1993年5月4日昼過ぎ、タイ国境に近いカンボジア北西部のバンテイメンチェイ州アンピル村で、同村に駐在している国連カンボジア暫定統治機構の日本人文民警察官5人が、オランダ海兵隊UNTAC部隊の護衛を受け、国道691号をパトロール巡回中に、ポル・ポト派とみられる身元不明の武装ゲリラに襲撃された。
10人程度とみられる武装ゲリラは、先頭車両を対戦車ロケット弾で攻撃し、車列が停止すると、自動小銃で一斉射撃をした。
オランダ海兵隊も応戦したが、現場で高田警部補が死亡、他の4人の日本人文民警察官も重傷を負い、ヘリコプターでバンコク市内のプミポン空軍病院に搬送された。
★高田警視は殉職により2階級「特別昇任」したが、家族や妊娠中の妻を残して我が子を抱く事も叶わず、死亡した無念さを思うと慚愧に堪えない。
今のままでは、「国連職員や民間NGOなどの文民が突然武装集団に襲われたとしても、自衛隊は彼らを見捨てるしかない」、集団的自衛権やPKO活動における場合でも「駆け付け警護」の必要性が有ると思います。
警護対象に、PKOに参加する他国部隊も含めるかなど難しい案件も想定される。
実は余り報道されなかったが、既に「駆けつけ警護」の実例が過去にあった。
02年に東ティモールPKOで陸上自衛隊が、現地の暴動に巻き込まれた日本人十数人を自衛隊車両で宿営地に移送し保護した。
救援要請に応じたものだったが、当時は正式の任務ではない為に、やむを得ず「人道的見地による緊急避難」と説明して事後承認された。
他のPKOでは、同じ宿営地に駐留する他国のPKO部隊から、共同の防衛や警護を打診されても固辞するしかないのが現状です。
国連の規定では武器使用の要件に、Aタイプ及びBタイプ共に認めています。
(Aタイプ)
「自隊要員を防護するための武器使用」
(Bタイプ)
「国連PKOの任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用」
しかし日本の「国際平和協力法」では、Aタイプの武器使用のみ、しかも「自己及び、現場に所在する他の自衛隊員等」と、「自己の管理下にある者の防護の為」にしか武器の使用を認めていない。
憲法9条や「平和ボケ」に縛られた、日本独自の行動基準からだ。
駆けつけ警護を可能にすることは一歩前進と言えるが、それだけでは不充分である。
自衛隊の海外派遣時の武器使用に関しては厳しく制限されており、原則として「正当防衛」と「緊急避難」に該当する場合にしか認められていない事が問題なのだ。
自己の管理下に入っている場合には、自衛隊員以外の者を武器を使用して保護する事ができるが、その定義は極めてあいまいである。
例えば、第三者が部隊の何m以内に居れば自己の管理下に居ると云えるのか、100m離れていたら駄目なのか、全く不明確だ。
しかし、お馬鹿な野党議員や反対派は法律で明確に規定しろと難癖をつけるが、不可能だし仮に規定したとしても現実的ではないのは明らかだ。
更に問題なのは万が一隊員や保護すべき文民が、武装勢力に拉致されたとしても武器を使って救出することが禁じられている事です。
つまり救出する能力が自衛隊にあるにもかかわらず、手をこまねいて隊員や文民を見捨てるようなことがあれば、部隊の士気は崩壊し軍事組織としての体を為さなくなる。
さりとて住民との信頼関係が必要な平和構築(インフラ整備等)活動中に、武装した重装備の自衛官が同行していては活動になりません。
私は目の前の日本人(文民)や虐殺から保護を求めて来た避難民を助けることができない状況は変えるべきだと思いますが、「駆け付け警護」が可能になったとして出来ることは極めて限定的であることが現実です。
集団的自衛権の行使によって、戦闘活動に参加することは紛争の当事者になる危惧もある。
目の前の武装勢力を攻撃することが「正当任務」であったとしても、その抗戦によって自衛隊だけでなく、国連やNGOで活動する総ての日本人も報復のターゲットになる可能性が生まれます。
撤退の条件を明確にすること、任務に応じた充分な装備や外国の交戦規定の検証も必要だと思う。